青年海外協力隊 ニジェール活動日記 2004/07/29〜2004/08/29

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首都ニアメ市内の様子(その2)

今月はニアメの首都らしい風景を紹介します。

これは先月、空港に降り立ったときの写真です。パリからの飛行機は300人以上が乗れる大型機でした。この空港からは、近隣国やパリのほかに、ローマ、ニューヨーク、ドバイ、ナイロビなどへの便もでているようです。
ニジェールで一番のホテル「ガウレイ」です。外はもちろん、中も超豪華で、リゾートホテルのような大きなプールまであるそうです。
ニジェール川沿いの、官公庁の建物が並ぶエリアです。最近道路も整備され、とてもきれいになりました。
ここはJICA事務所近くの「シャトー・アン」(Chateau Un: 第1貯水塔)と呼ばれているエリアです。高級住宅街がそばにあり、商店やレストランが軒を連ねています。
ニジェールで一番大きなモスク、「グランド・モスク」(Grande Mosquee: 大きなモスク)です。
グラン・モスクの中の様子です。壁も天井も、非常に細かな装飾がされていてとてもきれい。
ニジェールの伝統工芸。染めの技法で布に絵を描いた写真のもののほか、銀細工や、遊牧民(トアレグ族)の革細工もあります。
町中のビラージュ・アルチザナル(Village Artisanal: 工芸村)というところでは、実際に工芸品を作っている様子が見られます。
早速お世話になってしまった、事務所近くの歯医者です。フランス人の年配の女性が院長をやっていて、そのほかニジェール人の若い女医さんが1人、助手の人が1人いました。設備は日本の歯医者と変わりません。レントゲンもあります。僕が行った時はちょうど院長がバカンスで不在で、若い女医さんでは痛みの原因がわからなくて治療ができず、院長が帰ってくるまでの間1ヶ月近く痛み止めに頼るはめになりました。
パノラマレントゲン写真を取りに行った、ニアメ中心部にある歯医者です。入り口が歯の形をしているのがチャームポイント。ここで顎全体のレントゲン写真を撮ることで、僕の歯痛の原因が分かりました。ここにそのレントゲン装置がなければ、パリか日本まで治療に行く羽目になったかもしれません。今回の歯痛で、この国において「設備がある」ということのありがたみを実感しました。

任国内研修旅行

語学訓練後、1週間の任国内研修旅行に出かけました。各自が自分の習った現地語を使う地域に出かけて、これから2年間活動するその地域の様子を事前に学んでくるための旅行です。


この旅行で、初めてニアメ以外の都市の様子を見ることができました。建物らしい建物は官公庁やモスクのほかにはほとんど無く、街道沿いには写真のようなバラックの店が並んでいます。

ドッソ(Dosso)で1晩ホームステイをさせてもらった家の様子です。
ドッソで活動をしている隊員のカウンターパート※ キンバ・アリ(Kimba Ali)さんのお宅です。

※カウンターパート:技術移転先のリーダー
屋外にある藁葺きの小屋の中で食事を作っていました。


キンバ・アリさんと奥さんのマルヤマさんです。

砂丘です。ニジェールにはこういうところもあります。


ニジェールのその後の印象

語学訓練中、宿舎に遊びに来ていた近所の高校生の男の子に、高校を出たら何をするのかという質問をしたことがあります。彼の答えは「何も」でした。そして次に彼は、日本に行けば働く口はあるのか、家事手伝いのような職はあるかと聞いてきました。高卒はこの国では非常に高学歴なのですが、その彼でも仕事が無く、家事手伝いのような職を求めていることに驚きました。

この国では、教育の歯車がうまく回っていません。語学の先生や先輩隊員から聞いた話をまとめると、この国の教育は次のような問題があるようです。

(1)農村部は学校が無いので基礎教育を受けられない

(2)学校があっても基礎教育の途中で大半が脱落してしまう
・親自身が教育を受けてきていないため、親が子供の教育に不熱心
・高学歴でも職が無いので、教育を受けるモチベーションが低い
・毎年度末の進級試験を2回すべると、もう公立校には行けなくなるフランス式教育システム

(3)高等教育を受けても、それに見合う職が無い
・国民全体の生活水準が低いので、高等教育を必要とする高付加価値なビジネスが育たない

多くの子供が基礎教育すら十分に受けていないため、識字率(文字を読み書きできる人の率)は16.5%しかありません。そのため、新聞というものがニジェールにはほどんどなく、皆携帯ラジオでニュースを聞いています。特に農村部ではリーダー格の人も含めほとんどすべての人が文字を読み書きできないので、農村部で活動する隊員はどうやったら技術を多くの人に伝え、残せるのか、非常に苦労しています。

また、この国の基礎教育では図工や図画の授業がありません。そのため、人々は絵を描くことが不得意で、設計図を描いたり、作業を図式化して残すということが難しくなっています。音楽や体育の授業も無いため、優れた芸術家やスポーツ選手が出てくる下地も脆弱です。自分はこのニジェールにきて初めて、国の発展は教育が支えていることに気づかされました。ニジェールから見れば自分が日本で公教育を受けられたことが本当に幸運だったと思います。今後ニジェールが発展していくには、資金面の解決だけでなく、長い時間をかけて基礎教育を普及させる必要があるのでしょう。


ある日の夕焼け 真ん中に見えるのは貯水塔

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