協力隊への参加を考えている方へのアドバイス

協力隊への参加を考えている人からよく受ける質問と、その回答をまとめました。


協力隊に参加するのに技術は必要か?

必要です。発展途上国といっても隊員が仕事を共にする人たちは現地のエリートである場合が多いので、隊員にもそれなりの知識と経験を期待されます。 最低限、業務経験が3年程度はあったほうが良いでしょう。

村落開発普及員や青少年活動、感染症対策など業務経験がそれほど問われない職種もありますが、そういう職種は倍率が高く、合格している人は語学堪能だったり、アイディア力や行動力が ぬきんでていたり、音楽や武術で一芸を持っていたり、既にNGOなどでの経験を積んでいたり、大学で国際協力分野を専攻し国際協力の仕事に就くことを真剣に考えてい る人達でした。JICAは協力隊の宣伝で「誰でも参加できます」というようなことを言っていますが、実際のところは何か技術や経験、特技が無いと合格するのは難しいようです。

あと、健康が非常に重要です。コンピュータ技術職種などはほとんど健康で選考が決まっているそうです。実際、隊員には痩せすぎや太りすぎの人はあまり見かけませんでした。

いつ参加したらいい?

学生時代からバリバリ社会に出て活動している人以外は、業務経験を3年程度積んでから行った方がよいでしょう。

お勧めの場所は?

なんといっても アフリカです!アフリカと行っても、アラブの国と南アフリカを除くサハラ以南アフリカです。現在、サハラ以南アフリカは世界の地域の中でもっとも貧しく、政治、教育、経済などあらゆる面で多くの問題をかかえています。文化面でも日本と異なる点が多く、チャレンジし甲斐のある場所です。

中南米も多くの問題を抱えていますが、ヨーロッパの国による統治が長かったこともあり政治や教育、経済の地盤はアフリカよりはるかに良好です。文化も、基本はヨーロッパがベースなので馴染みやすいでしょう。

アジアやオセアニアも社会基盤は比較的良好で、文化にも日本に近く馴染みやすいでしょう。ただ、パキスタンやネパール、スリランカなど治安面で少々不安がある地域もあります。

仕事を辞めずに参加できる?

公務員は協力隊参加のための制度があります。ただし年度ごとに人数枠がある組織もあるので、協力隊応募前に人事部門に確認しましょう。

民間企業についても、大手、中堅くらいならば協力隊参加のための休職制度を設けているところが少なくありません。応募前に人事部門に確認してみましょう。制度がそれまで無かった場合でも、新たに会社に制度を作ってもらって参加する例も多いので諦めず交渉してみましょう。

社員が長期間休職すること自体は、育児休暇などを認めている会社にとって珍しいことではないので、さほど深刻に考える必要はありません。ただ、社員数の多くない会社だと休職中の人の手当がつかず、難色を示されることもあります。また、協力隊の参加意義を認めない会社も残念ながら少なからずあります。

会社を休職して参加する場合、会社に話すタイミングはいつ頃がいい?

私は一次試験合格後、二次試験前をお勧めします。一次試験は結構健康などにひっかかって落とされることもあるので、一次試験前に話をするのは少々勇気が要る かと思います。一方、二次試験では所属先の同意を得ているか確認されますので、二次面接前に少なくとも上司に相談をして了解を得ておくべきです。村落開発普及員、青少年活動、エイズ対策など専門性が低く倍率の高い職種は別にして、応募職種で3年程度業務経験がある人が二次試験で落とされることは少ないので、勇気を出して上司に相談してみてください。

会社に協力隊参加の意思を伝える時、資料など用意したほうがいい?

JICAが配っている「現職参加の手引き」と、協力隊のパンフレットくらいでよいでしょう。

仕事復帰についてはどうですか?

すぐ慣れますので、あまり心配しなくて大丈夫です。戸惑いがあるのは最初の1ヶ月くらいです。

私の場合、現地に昼寝の習慣があったので、帰国後、一ヶ月近く午後強烈な眠気に襲われて苦労しました。あと、2年ぶりにコンピュータプログラムを書くことになった時、以前のようにスラスラとプログラムが頭の中に浮かば ず困り果てたこともありました。でもこれも2週間くらいで直りました。むしろ物事があまりに整然と時間通りに進むので日本はすごい!と周りに感激しきりです。

今後国際協力の道で働いていくにあたり、一度は現地に赴き2年とは言わないまでも、数ヶ月でも現場を経験するべき?

是非現場を経験してください。発展途上国の生活の厳しさ、社会のかかえる問題の困難さ、現地の人の価値観といったことは、先進国の生活からだけではなかなかイメージ出来ないものだと思います。

国際協力の道で働いている人は、どういう経歴の人が多いのか。

私は国際協力は門外漢なので詳しくは分かりませんが、協力隊の中から見ていると、国際協力の仕事は大きく分けて事務方と現場方とがあるようです。

事務方は国連やJICA本部などで援助計画を作ったり、資金集めをしたり、各国政府と交渉をする人たちです。国際協力や経済などについての深い知識が必要なため国際協力分野の修士、博士を求められることも多いようです。私が見聞きした範囲では、大学時代から国際協力関係を学び、就職もJICAなどの国際協力機関、という人が多い感じがします。

現場方は現地で援助計画を実行する人たちで、修士・博士の知識よりは現地の言語や習慣への適応、現地の人脈の多い人材が求められるようです。こちらの人の経歴は様々で、技術畑の人もいます。協力隊OB/OGはどちらかというと こちらの現場方の仕事に就いている人が多いですが、帰国後に国際協力分野の修士、博士を取って事務方の仕事に就く人も少なくありません。

なお、組織の規模の小さいNGOなどはこのような事務方、現場方の区別はそれほど無いでしょう。


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