青年海外協力隊 ニジェール活動日記

2006/03/13〜2006/06/02


親を捜してキーキーと鳴きながら宿舎の周りをうろつく子ヤギ。
耳をつんざくような鳴き声なので朝に鳴かれるとたまりません。

任期残り3ヶ月

最初は気の遠くなるほど長く感じた2年の任期も、もう残すところ3ヶ月になりました。3月に入ってから帰国のための事務手続きも始まり、いよいよ帰る実感が沸いてきます。活動も終盤に入り、今まで長期計画でやって来たことにひとまず区切りをつけなくてはならず、非常に忙しくなってきました。

今回は、残り3ヶ月のところでお世話になってしまったニジェールの入院病棟についてと、活動終盤の様子を報告します。

他のページへ移動 1 2 3

トップページへ戻る


入院

3月に、足の傷の化膿で3泊4日入院してしまいました。足の太ももに出来た虫さされのような傷口が4日ほどで直径3センチほどに固く腫れ上がり、痛みで歩くのに苦労するまでになっ たので病院で診察を受けたところ、即入院を命じられました。

3泊4日の間、点滴につながれて一日4回、きっかり6時間置きに抗生物質の点滴投与を受けました。 幸い抗生物質が効いて3日後には腫れが引き始め、その後飲み薬を10日ほど飲んで完治しましたが、治療が遅れれば足から全身に菌が回ってより重傷になっていたそうです。

入院した病院は「クリニック・ガムカレイ」という名で、フランスの援助で運営されており、フランス人の医師も2人ほど常時派遣されているニジェールの中では最も信頼の置ける病院の一つです。JICAの指定病院にもなっており、JICA関係者は基本的にこの病院を利用しています。

病室の様子。病室は10室ちょっとあり、全て個室です。トイレのある/無しなど何タイプかバリエーションがありますが、 今回あてがわれた部屋はトイレ・シャワー付きで衛星放送テレビもある一番良い部屋でした。
部屋を窓側から見たところ。奥の小部屋はトイレとシャワーです。
昼食はサラダにパスタやクスクス、それにバナナやオレンジなどのフルーツが付いていました。

なお、朝食はフランス式にフランスパンとジャム・バター、コーヒーだけです。

夕食はステーキ。付け合わせはフライドポテト、あとはバナナだけです。昼のメニューは毎日少し変化があったのですが、夕食は3回ともステーキとフライドポテトでした。

病院食にステーキとは驚きですが、フランスの病院もこのような感じなのでしょうか?メニューは入院患者共通らしく、食欲が無い人にも容赦なくステーキが出されます s。

抗生物質様々

今回の病気の原因菌はそこら辺に普通に居るバクテリアですが、全般的にこちらの環境が不衛生で傷口から菌が入りやすいのと、自分の体力が落ちていて菌が入っても抵抗力が十分働かなかったためにここまで重傷化してしまったようです。他のニジェール隊員も何人か、入院までには至らなかったのですが足などの傷口が同じように固く腫れてしまい、抗生物質で治療をしています。

この2年間、数え切れないほどの回数、抗生物質のお世話になりました。 抗生物質無しでは、2年どころか半年でもこの地で生活できなかったでしょう。抗生物質も無く、飛行機も無い時代はそれこそ病気で次々に人が亡くなっていたのだと思います。

実際、アフリカはヨーロッパに近いにもかかわらず、その風土病の厳しさのために長い間ヨーロッパ人にとっては「暗黒大陸」でした。奴隷貿易も現地人を介した間接的なもので、ヨーロッパ人自身は奥地に入っていません。ヨーロッパ人の探検家がアフリカ奥地に入り、アフリカで領土合戦を始めたのはワクチンや抗生物質が出てきた19世紀末以降です。


食肉処理場

クリニック・ガムカレイの近くで見かけた食肉処理場の様子を紹介します。

食肉処理場の様子。皮を剥がれた牛が何十頭もぶら下げられていて、仲買人が集まって品定めをしています。

ちなみに皮は皮で別の所にまとめられ、どこかに運ばれていっていました。

肉はタクシーの荷台に載せられてニアメ市内各所の市場に運ばれます。仲買人も一緒のタクシーに乗ります。 専用のトラックで運ばれる肉もあるようですが、しばらく見ていた限りではほとんどの肉はタクシーで運ばれているようです。

肉は何に包むわけでもなく直に積まれているので、 肉と一緒にタクシーに乗っていると血の臭いが車内に充満して頭がくらくらしました。

ニジェールでは、空気が乾燥していて何でもすぐ乾いてしまうためか皆肉の包装には無頓着で、写真のように車に直に肉を積むのはもちろん、肉の塊を直に肩に背負って運んだり、肉を手でつかんだまま自転車で家に持って帰ったりと、日本の感覚からするとぎょっとするような扱い方をします。

荷台に牛の頭を山ほど積んで走るトラック。 頭に顔は無く、角の付いている部分だけそぎ落としたという感じで脳髄も付いていて結構グロテスクです。市場では見かけないものなので、どこかの加工場に持って行かれるのでしょう。

次のページへ