青年海外協力隊 ニジェール活動日記 2006/03/13〜2006/06/02

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インターネットが来た!

3月下旬、いよいよ配属先の学校にインターネットの常時接続回線が来ました。 速度は64kbpsで、光ファイバー100Mbpsが当たり前になってきた日本からしたら2000分の1くらいの速度ですが、今まで回線が無い=「速度ゼロ」だったことからすると、とてつもなく大きな進歩です。

赴任してから1年半、インターネット常時接続の実現を待ち続けました。 常時接続とダイヤルアップでは、使い勝手に天と地ほどの差があるからです。常時接続なら使っても使わなくても料金は同じなので積極的にインターネットを使うことが出来ますが、分単位で課金されるダイヤルアップではやむなくインターネットを使うという感じで、教職員や学生に自由に使わせるなど とても考えられません。

2004年末からの通信自由化のおかげでプロバイダが増えて価格競争が起き、それまで月額8万円もしていた64kbpsの料金が3万円まで下がったことと、最近になって学校長がダイヤルアップ接続で使っているインターネット料金が毎月3万円近くかかっていたことが判明したことから、 赴任して1年9ヶ月経ったこの3月にようやく配属先が動きました。

建物の上に見える細い棒が、プロバイダとAM波で通信を行うアンテナです。 既存の電話回線は品質が悪く、電話会社も回線の開放をしていないためニジェールではADSLサービスはまだ望めません。通信自由化後に参入したプロバイダはほとんど全てこのAM波アンテナを使っています。
去年敷設したLANを通して、学内のあちこちでインターネットが使えるようになりました。

インターネット利用を前提とした学外向け講習会も開けるようになりました。 配属先は学外向け講習会が一つの収入源になっているので、学外向け講習会のバリエーションが増えるのは配属先にとっては大きなチャンスになります。

教職員向けには自由にインターネットが利用できる「インターネットルーム」も作ったのですが、学生 に対しては管理上の問題があるため今のところインターネットは開放していません。

現在はLANの拡張工事をしています。配属先は全ての部屋が屋外に向かっているので、配線作業は全て屋外になり配線距離も長くなって大変です。

この2年間で敷いたケーブルの総延長は1.5kmにもなりました。 ハブも10台も使っています。これだけケーブルとハブを使って、LANが入った部屋はたった36部屋です。しかも教室4つ、講堂1つ以外の31部屋はそれぞれスタッフが1人しかいません。1スタッフあたり50mもケーブルを使っている計算になります。大部屋 にスタッフが集まっている形の建物だったらどんなに楽だったでしょう。

これからの配属先LANの課題

インターネットが来たのが任期終了3ヶ月前だったので、課題はたくさん残っています。

まずサーバー管理の問題があります。カウンターパートの非常に強い要望により、 DNS、メールサーバー、ファイルサーバーなどをLinuxで実現しましたが、同僚やカウンターパートがLinuxを使いこなしているかというとまだ全くです。その上、就業時間中にインターネット接続を出来ないようにしろ 、ただし休み時間は接続できるようにしろとの非常に強い要望もあったため、ルーターに特殊な設定をしたりプロキシーサーバーを立ち上げていて、今後彼らがこれを運用しきれるのか心配です。 まあ、運用しきれなくてもLinuxサーバーを止めてルーター直でとりあえずインターネットは使えるので、この半年ほどの自分の苦労は無になりますが、彼らがインターネットから再び切り離されるということは無いから良いでしょう。

もう一つの課題は、 学生へのインターネット開放です。カウンターパートは学生へのインターネット開放には非常に慎重で、少なくとももう任期中には出来ないでしょう。もちろんカウンターパートが 慎重なのは訳ありで、今までも夜間など学生に自由にPCルームを利用させると機材の盗難が頻発したり、学外の友達を連れ込んでゲームで遊んでいるなどのことがあったからです。 それを防ぐには常時監視係を置く必要があるのですが、人の費用がかかるため今日明日からは始められません。機材盗難を防ぐための鍵付きラックなどの設備も必要です。

もう一つ、やり残したことは学内の電子メールとインターネットメールとの接続です。これを実現するにプロバイダの有料のオプションを契約しなければいけなかったこともあるのですが、それよりもスパムメールやウィルスメールの対策の経験を積む時間が無かったからです。インターネットメールは 当分外部のWebメールサービスに頼ることにしました。

カウンターパートや同僚、教職員へのインターネット利用方法の指導も行わなければいけません。せっかくインターネットが来ても、使い方を知らないとせいぜいYahoo!メールを使って友達とメールをするくらいで満足して終わってしまいます。これについては、Googleを使った情報検索やメールマガジンによる技術情報収集、Vectorのようなフリーソフトサイトの利用方法、ウィルス対策などについての学内向け講習会を任期が終わるまでに開く予定です。

遊びのためのインターネット

今はLANの拡張工事中なので、学内でインターネットが使える人と使えない人がいる状態です。そのため毎日のように「なぜインターネットがうちでは使えないのか!」「いったい何時になったら使えるようにしてくれるのか!」と強い調子で詰め寄 られ、本当に精神的に疲れます。彼らの仕事内容ではインターネットは全く使わず、遊びのためだけにインターネットを欲しがっているのが明らかなのでなおさらです。

機材の盗難

また残念なことに機材の盗難も起きました。日中の1時間、情報学科のスタッフが不在だった間にインターネットルームのスイッチングハブ(3万円相当)が1台盗まれました。 3万円の機材でも、資金不足の配属先には大ダメージです。とりあえず他の教室のハブを持ってきてインターネットルームは再開しましたが、せっかく機材をそろえたのに学内でハブが足りない状態になってしまいました。

その部屋にその機材があることを知っているのは学校スタッフと一部の学生だけなので、犯人は十中八九学校関係者でしょう。今日もこのハブを盗んだ犯人が平然と学内を歩き回っているかと思うとぞっとします。

残念ながら、EMIGに限らずニジェールでは内部の者による盗みが日常的に行われています。今回のような盗難らしい盗難のほか、物品管理する当人が自分の生活費の足しにするために勝手に備品を売ってしまうこともあります。ニジェールのような国で何か事業をするにあたって一番頭を痛めるのはこの モラルの欠如の問題でしょう。隊員活動をしていても、物品管理に関しては一秒たりとも気が抜けません。


就職展示会

3月下旬にニアメ市内にある国際展示場で就職展示会が行われ、配属先のEMIGも出展をしました。

展示会のブースの様子。電話会社やコンピュータショップ、ニアメのバス公社、私立病院などニジェールの中でも大手の企業・組織が展示を出していました。
EMIGのブース。就職の展示会なのになぜ教育機関のEMIGが展示を出したかというと、就職展示会に来る高校生に入学をアピールするためです。ブースではプロジェクターで学校紹介のプレゼンテーション ビデオを流し、入学案内のチラシを配りました。
ニジェールの首相、ハンマ・アマドゥ氏も展示を見に来ました。中央の黒いスーツの人物が首相で、EMIG学長(左手青いスーツ)から説明を受けています。

ニジェールは大統領制を取っていて、国民から選ばれた大統領が首相を指名します。首相は国家運営の事実上のナンバーワンです

講堂でのイベントが終わるたびにブースは人でごった返しました。

高校生達はこんなところでも町の子供のようにつかみ合いでチラシを取ってい くため、ブースの周りは大混乱でした。

ニジェールの展示会ということで、もっと人もお金もかかっていないあっさりした展示を想像していたのですが、意外にも日本の展示会と変わ らない勢いでどのブースもプロジェクタでプレゼンをして、チラシを配っていて、グッズを販売していたブースまでありました。さすがにコンパニオンを用意していたブースはありませんでしたが。

展示会の 屋外ではネスカフェが無料試飲キャンペーンをしていて、そこではタダでコーヒーを配っていたので長蛇の列が出来ていました。


映画上映会

カルマハロ技術訓練校で行った映画上映会の様子を紹介します。作品はフランス人によるアフリカを題材としたアニメ「キリク」と、宮崎駿の「天空の城ラピュタ」で 、2日に分けて行いました。

屋外に白いパネルを立てて上映しました。
学生だけでなく、敷地内に住んでいる職員の子供も集まって観客は80人くらいになりました。

「キリク」は好評でしたが、「ラピュタ」は長すぎたようです。最初は要所要所で笑いが起きていましたが、最後の方は皆ちょっと疲れて黙っていました。

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