青年海外協力隊 ニジェール活動日記

2004/10/29〜2004/12/17


語学の先生宅の庭で寝そべるウサギ。
もちろん、食用です。

 9月頭の配属から3ヶ月が経ち、ようやく活動らしいことを始めました。

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活動らしいこと

10月〜12月に行った活動内容を紹介します。

配属先のホームページ作成

経緯はよく分からないのですが、カウンターパートから11月末までに実現して欲しいといわれて一番先にとりかかったのが配属先のホームページ作りです。

実はカウンターパートは既に町の業者にホームページを作らせていたのですが、その後の作業が分からなかったようで公開はしていませんでした。そこでカウンターパートにホームページ公開までに必要になる作業を説明し、一緒に手続きを進め、11月中旬にホームページを公開しました。ホームページのURLは http://www.emig-niger.org/ です。

ちなみに、この町の業者が作ったホームページというのが大変酷いもので、見栄えこそ良いのですが文字も写真も全部画像ファイルになっていて、普通の人では1文字も修正できない代物でした。おそらく修正されることを全く考えていなかったか、修正する度にお金を取る算段だったのでしょう。ニジェールの通信事情からしても、画像だらけのページは表示されるまでに時間がかかりすぎて読むに耐えません。文章の元のデータも無かったため、結局文字を全部打ち直して、HTMLも全部一から作り直す羽目になりました。

ホームページを置くプロバイダ選びでも少し苦労しました。ニジェールの唯一のプロバイダSONITELの料金は月4000円です。利用者が少ないので仕方ないと思いますが、月4000円の継続的な負担というのは配属先組織ではすぐにはOKを出せない金額です。結局、雑誌で見つけたフランスの年2000円のプロバイダを利用することになりました。フランスに置いた方がニジェール以外の国からのアクセスが良くなるという理由もあります。

配属先内のネットワーク構築

配属先から学内LANの構築についてアドバイスして欲しいと言われていたため、建物の設計図や配置図を元にケーブルの配線計画やサーバー設置計画を作成しました。

一応計画書はもう出来上がっていて、あとは予算の裏付けを待つばかりですが、これがいつになるのかが分かりません。任期中に実現できればよいのですが・・・

C言語の授業

言葉の面の問題があるので授業を持つのは来期の2月からということにしていたのですが、今期C言語を担当していた非常勤講師が無断欠勤を続けていたため急遽11月頭から授業を担当することになりました。

担当したのは2年後期の情報工学科のクラスです。既に皆アルゴリズムとPascal言語の講義を受けてきてプログラミングの基礎は知っているので、この授業ではC言語の文法学習と、ソーティングなどの応用プログラミングをメインに教えています。

12月頭には中間テストもしました。内容はこんな感じです・・・PDFダウンロード。始めて2ヶ月の割には高度な内容だと思います。

(注)写真はイメージ ※講義しているのは本人ではありません

授業の準備は大変です!毎回毎回例題作りで授業時間と同じかそれ以上の時間がかかります。今になって先生の大変さが分かりました。

一応初めはカウンターパートと一緒に授業をする約束でしたが、いつの間にかカウンターパートは「忙しいから任せる」といって一緒に授業に出なくなりました。カウンターパートが仕事を隊員に丸投げしてサボるようになるのは一般的な傾向ですし、自分のカウンターパートに限っては忙しいことは事実です。でも協力隊の技術移転という目的からいくと、隊員単独で授業をするのは隊員が帰った後配属先に残るものが何も無く、好ましくありません。さりとて単独授業を拒否すれば授業が回りません。いったいどうすれば・・・この問題は教育系隊員共通の悩みです。

同僚向け講習会

学生向けの授業の他に、同僚向けに週1回Windowsネットワーク講習会を行いました。近い将来配属先内ネットワークが出来た時、彼ら自身でその管理が出来るようにするためのものです。

このほか、カウンターパートが学生に遠隔会議の技術を教えたがっていたので、NetMeetingの講習会も行いました。

その他

コンピュータ技術者が少ないニジェールでは、コンピュータ技術隊員はあちこちからコンピュータを教えてほしい、直してほしいと声をかけられます。道端でちょっと挨拶した人に「コンピュータ技術を習得したいんだ、教えてくれないか」と言われることもしばしばです。※

写真は語学の先生宅で先生にパソコンの使い方を教えている場面です。

※さすがに道端で会った人に教えるほど自分は人が良くありません。というのも、そういう人はコンピュータ技術を習得すればあとは楽に稼げると思っているだけで、前提となる知識や、習得したあとのプランは何も無いからです。僕が「じゃあ、まずパソコンを用意してよ。」と言うと、相手は「え!?そのくらいくれないの?」といって立ち去っていきます。
実はニアメには私設のパソコンスクールがあちこちにあり、WindowsやOfficeなどの基本的な使い方はお金を出せば学べるようになっていて、本気でコンピュータを習いたいと思っている人はそういう所で学んでいます。

卒業研究発表会

11月中旬、情報工学科学生の卒業研究発表会がありました。広い講堂で、プロジェクターまで用意して、むしろ日本の大学のそれより立派です。

卒業研究といってもEMIGは技術教育がメインの教育機関なので、「卒業実習」といったほうがいいでしょう。EMIGの学生は最終学期になると、官公庁・民間企業・NGOなどに出向いて、指導教官と決めたテーマでシステム構築などの実習を行い、発表会でその成果を報告することになっています。

今回発表されたテーマは、「NGOオフィスにおけるLANおよびファイル共有・メールシステム構築」「工場での工程管理システム」「Microsoft Accessを使った人事管理システム」などでした。もちろんどれもまだ教科書的で、実用的なレベルには達していませんが、発表自体は堂々としてなかなかのものでした。
学科の枠を超えて多数の学生が発表を聞きに来ます。発表終了後、審査員から発表者に合格が告げられると、皆拍手で発表者を祝福してくれます。
合否判定をする審査員は、指導教官、学科長などで構成されます。今回は僕も審査員に加わりました(右端)。

なお、審査員は結構手厳しいことを発表者に言いますが、不合格になることは滅多に無いようです。

ニジェールで教育活動をして思うこと

ノートを取らない!

ニジェールで教育活動をしていて一番思うのは、ノートを取る習慣が無い!ということです。せっかく何か教えても、ノートを取らなければすぐ忘れてしまい身に付きません。参考書が手に入るわけでもなく、いつでもインターネットで検索ができるわけでもないニジェールではなおさらです。

ノートにする紙すら入手に事欠くニジェールでは習慣化されてないのも仕方ないのかなとは思いますが、少なくとも自分が教える相手にはノートを取るよう求めていきたいと思います。基礎教育を担当している隊員の中には、生徒のノートをチェックして、ノートの取り方から指導している隊員もいます。

自分の中学時代、”ダブルノート”と称して授業中付けたノートと復習の時にまとめ直したノート二種類を提出させる先生がいて、当時はなんて無意味なことをさせるのだろうと思いましたが、今はその先生の方針が理解できます。それでも二種類用意させるのは度が過ぎると思いますが。

また一方で、相手が紙代を払える大人であれば、ノートを取る時間を節約するために、要点をまとめたテキストを作って渡す工夫もしていこうと考えています。これは日本でも行なわれている工夫ですね。

なお、EMIGの学生は非常に丁寧にノートを取っていて、さすがニジェール随一の教育機関だと感心させられます。

週の活動スケジュール

12月までの週間スケジュールはこんな感じです。

 
8:00〜10:15    

同僚向け
講習会

  学科内
ミーティング
   
10:15〜12:15 フランス語 C言語授業     学科内
ミーティング
   
15:00〜16:30 C言語授業 フランス語     フランス語    
16:45〜18:15 C言語授業            

「フランス語」というのは、家庭教師とのフランス語学習の時間です。開いている時間には、カウンターパートや同僚とホームページ等々の課題について話したり、授業の準備をしたりしています。他の教育機関を見学しにいったり、他の人のコンピュータのお世話をしていることもあります。10月、11月はそれほど忙しくなかったのですが、12月は1月から始める予定の授業の下調べで結構忙しかったです。1月からは、新たに講習会1つ、授業1つが増えてまた少し忙しくなる予定です。

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