青年海外協力隊 ニジェール活動日記 2005/05/14〜2005/07/09

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雨期の到来

5月30日、ついに雨期がやってきました。

雨期の到来は劇的でした。その日の昼下がり、突然台風のような突風が吹きはじめて空が真っ赤になり、そして雨が降り始めました。

これは、雨粒の落下で強い風が吹いて、乾燥しきった砂が巻き上げられたせいじゃないかと思います。雨の最初2、3回はこの現象が起きましたが、その後は地面が水を吸って固まったせいか、 台風のような風は起きても空が赤くなることは無くなりました。

雨期が始まると、雨は2、3日おきに降るようになります。雨期の始まりからほんの1週間ほどで、今まで何も無かった砂地からみるみる植物の芽が吹き出してきました。
水たまりには、オタマジャクシがいっぱい。そのうち、そこら中蛙だらけになります。

蛙だけならいいのですが、有り難くないことにマラリアを運ぶ蚊もたくさん出てきます。

(上の写真)ほんの2〜3週間で、砂地だった所が緑の絨毯になり、今まで木の葉っぱを探して放浪していた羊やヤギたちも悠々と草をはむことが出来るようになりました。

ちなみに右の写真は今年1月の、ほぼ同じ場所の景色です。

 

雨期が始まって2週間ほどで、作物の植え付けが始まります。雑草が生えた部分を掘り起こして耕し、ミレット(雑穀の「ひえ」)の種をまいていきます。ニアメは土地が少ないので、雨期は地面の見えるあらゆる場所がミレット畑になります。なんとバカンス中の学校の校庭までミレットで埋め尽くされます。

なんかせっかく緑の絨毯が広がったのに、掘ってまた土色に戻してしまってちょっともったいなく感じました。

ニジェール式「鍬」を使って地面を耕しているところです。
ニジェール式「鍬」の写真。丸くなった頭の部分で草の根を切って、土を掘り起こして耕します。
雨期に入って空気中の埃が少なくなったせいか、夕日がきれいに見られるようになりました。

雨が降るのが嬉しい

 ニジェールに来て、この雨期の始まりを経験して、こんなに「雨が降るのが嬉しい」と思ったことはありませんでした。 ひりひりと肌を焼く太陽が雲で遮られ、ほっとしているとやがて風音とともに雨がやって来ます。雨が降り始めるとさっと空気が冷たくなり、日に焼けた肌を労ってくれます。日本ではどちらかというと 、日常生活の上では雨は厄介者ですが、ニジェールでは本当に心底から雨が待ち遠しい、雨が降るのが嬉しいと思えます。

 雨期に入って周りのニジェールの人たちも表情が明るくなり、生き生きとしてきたように感じます。こちらの挨拶の一つに「暑さはどうだ?」というのがあって、諦め顔で「暑さはたくさんあるよ!」と 返事を返すのがいつものニジェール人のパターンなのですが、この時期は「今日は暑さが少ない!」と笑顔で返事が返ってきます。

 ニジェールの雨期の気温は早朝28度、昼間34度くらいと高いですが、湿度は40%から60%となお低く、じめじめと蒸し暑い東京の夏よりからっとしていて過ごしやすいです。ただし快晴の日の日差しは相変わらず刺すように熱く、やっぱり太陽の下で運動をする気にはなれません。

 日本では気温と日照量が秋の収穫の重要な目安になっていますが、ニジェールではとにかく雨です。どれだけ多く雨が降るかが重要です。去年は雨が少なくて穀物が十分採れなかったため、収穫期を前にした今、あちこちで飢饉が起きてしまっています。今年こそ雨がたくさん降って豊作でありますように。

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