青年海外協力隊 ニジェール活動日記 2004/08/30〜2004/10/28

ページ1

ページ2(このページ)

ページ3

ページ4

トップページへ戻る

配属先の紹介(続き)

図書館です。広々としていますが、残念ながら予算不足のため蔵書は少なく、学生もあまり利用していないようです。
大学関係者の送別会があり、そこで子羊の丸焼きが出されていました。皆これを手づかみで食べます。

味の方は・・・肉はとても柔らかくて美味しいのですが、味付けが全く無かったのがいまいち。塩が欲しかったです。
コピーセンターの様子です。シャープと東芝のコピー機が働いていました。ニジェールでは、コピー機と言えばシャープと東芝だそうです。
同僚の部屋で修理を待つパソコン。NECのヨーロッパ仕様のタイプです。ニジェールではノンブランドの組み立てPCのほかはDellとCompaqを多く見かけますが、NECもちょくちょく見かけます。フランスのPC雑誌の広告で、NECはヨーロッパのPC市場で第二位の出荷台数だと書いてあったので、ニジェールに流れてくる分も多いのでしょう。実際、僕がニジェールに来てから会ったこの分野の人は皆NEC(ネック)を知っていました。
EMIGは少し不便な所にあるので、教職員は皆バイクや車で通勤しています。学生は構内の寮に住んでいますが、やはり買い物や食事などで出かける際はバイクや自転車を使っています。
構内には草木も植えられ、水やりがされています。写真は苗木に土を被せている所です。
EMIGの周りには、不思議な成長の仕方をしている椰子の木がたくさん生えています。
変な椰子の木は本当にたくさん生えています。この椰子の木を眺めていると、異次元に迷い込んだような感覚になります。

学生食堂の様子

EMIGでは、カフェテリアで学生向けに朝・昼・晩、無料の学食が提供されています。彼らと共に学生寮に住む僕も利用してみました。

朝はミルクコーヒーとフランスパン、昼と夜は米やパット(ミレットなどの粉を練ってこんにゃくのように固めたもの)にソースをかけたものとフランスパンです。

下の写真はある日の昼食です。ご飯は小豆に似た豆が混ぜてあって赤飯のような感じで、それに黄色いソースがかかっています。これを大勢でスプーンですくって食べます。右に添えられているのはフランスパンです。学生はご飯をパンに挟んで食べています。
右の写真はある日の夕食です。パットにソースがかかっています。

ただし、あまりおいしくありませんし、栄養のバランスもよくありません。学食を利用する学生はごく一部のようで、たくさんいるはずの留学生や女学生はカフェテリアでまったく見かけません。
厨房の様子です。ちゃんとカフェテリアとして使える設備になっていますが、残念ながら利用されているのはごく一部です。

ここのカフェテリアの調理人の腕は決して悪くありません。赴任直後、まだ学食が始まっていないときにお金を払って作ってもらった食事はおいしいものでした。しかしここの学食はちょっといまいちです。おそらく学食に回されている予算が少ないのでしょう。

配属先に関して

 写真を見て、先進国と変わらないじゃないかと思われた方もいると思います。確かにEMIGは、設立時にCEAO(西アフリカ経済共同体)がふんだんに投資をしたお陰で、建物はニジェールの他の施設とは比べものにならないほどモダンな作りになっており、設備も一通り揃っています。また、ニジェールの組織としては珍しく構内美化や整理整頓に力を入れているため、その建物や設備が色褪せていません。

 しかし実際は、ニジェール国に譲渡されて以来、EMIGも他のニジェールの教育機関同様、資金不足に陥っています。その結果、多数の精密機械が修理できずに放置されているという問題が起きています。多くの精密機械はニジェールに修理できる技術者がいないため、外国から技術者を呼ばなくてはいけないのですが、その資金がありません。

 そしてもう一つ、教員の不足という問題が起きています。ニジェール政府に譲渡される前は西アフリカの各地から教員が来ていましたが、ニジェール政府への譲渡後は教員はニジェール人のみになっています。資金的に、他国から教員を呼ぶ余裕はありません。ところがニジェールでは工業があまり発達していないので、技術者育成校の教員にふさわしい、経験を積んだ技術者を確保することが難しいのです。情報工学科に話を絞れば、ワープロや表計算ソフトの使い方を教えられる人はいても、ネットワークやインターネット、ソフトウェア技術といったニジェールでまだ普及していない技術に関しては、経験に基づいて教えることのできる人はなかなかいません。今時の学生が知りたいことは後者の方なので、ここに少しギャップが起きています。

 EMIGは西アフリカではまだ少ない工業技術者育成校という特色があるため、近隣諸国から留学生を集めており、彼らからの学費が大きな収入源になっています(構内美化に力を入れているのも、留学生を集めるための努力の一つなのでしょう)。そのため、これらの問題を放置すると留学生離れを招きかねず、またそれが資金不足を招くという悪循環に陥りかねません。

 このような背景のため、ここで金のない協力隊員のやるべき事といえば一にも二にも技術指導ということになり、配属先の期待している点もそこに集約されています。そうはいっても自分が教壇に立って教えるだけでは自分が帰る二年後何も残らないので、どうやって教育が上手く回るようにしていくか、今はその方法を色々検討しているところです。

配属先の学生に関して

 EMIGのニジェール人学生は、高校卒業資格試験(BAC)を通って、しかも入学選考試験をパスしてきた、ニジェールではまさに頂点の一握りの若者です。ニジェールでの協力隊活動は、基礎教育の圧倒的不足や低識字率のため技術指導に苦労することが多いらしいのですが、EMIGにおいてはその懸念はありません。この点は本当に恵まれていると思います。
 そして彼らは結構お金持ちです。携帯電話を持っている学生も多く、バイクを持っている学生もいます。デスクトップパソコンやノートパソコンを持っている学生もめずらしくありません。彼らの受け取っている奨学金は多くて月2万フランセーファ(約4000円)に過ぎません。実は、ニジェールの中で超エリートに属する彼らは、アルバイトで結構お金を稼いでいるようなのです。

次のページへ