青年海外協力隊 ニジェール活動日記  2006/06/03〜2006/07/21

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ケルメスジャポン・ニアメ

7月8日にニアメのCCFN(フランス文化センター)で、青少年活動隊員が中心になって「ケルメス・ジャポン」イベントが行なわれました。このイベントはくじ引きや竹とんぼ遊び、餅つき、相撲などの日本文化をニジェールの人(特に子供達)に体験してもらうためのもので、今まで地方都市では行って来たのですが首都ニアメで行うのは初めてでした。

左の写真はソーラン節を披露しているところです。

ニジェールの子供達も餅つきや相撲などの日本の遊技を楽しんでいました。私はくじ引き係だったのですが、1回25セーファ(約5円)でボールペンが当たるということで皆熱中して、小遣いを全部はたいてしまう子もいたほどです。子供どころか大人も熱中していました。


帰国準備

活動も6月いっぱいで区切りをつけ、7月に入ってから帰国準備を始めました。まずはJICA事務所に提出する5号報告書です。これは前から少しずつ書きためていたのですぐ出せました。

次に家の片付けです。バケツや食器、蚊帳などの生活雑貨は近所に住んでいる隊員に譲りました。服も隊員や同僚にあげたのですが、少し破けてしまって補修が必要なスラックスやシャツが 何枚かあり、それらは2年間お世話になった宿舎の洗濯屋さんのオマールにあげました。彼は服の補修もできるので、早速翌日直して着ていました。さすがです。

そのほか飛行機に乗せきれないお土産品や本、CDなどが30kgあり、出発前日に郵便局から日本へ発送しました。航空便しかないので送料7万円、高い! さらに余った現地通貨の両替もしなければならず、帰国当日の夕方までゆっくりと休む暇もありませんでした。


ニジェール出発

7月11日夜、長らくお世話になった隊員連絡所近くの中華レストランで後に残る隊員の皆とニジェール最後の晩餐をした後、JICA事務所の車で空港に行き、事務所スタッフと隊員 の皆に見送られて、6人の同期と共に飛行機でニジェールを発ちました。空港にはカウンターパートやEMIGのスタッフも見送りにきてくれました。


活動のまとめと、やり残したこと。

この2年間で行った活動をまとめると、次の13項目になります。

  1. コンピュータ関連授業の実施
  2. 工業実習/卒業実習指導
  3. 同僚向け技術講習会
  4. 学内LAN構築運用とインターネット常時接続の実現
  5. 配属先ホームページの実現
  6. 機材メンテナンス改善指導
  7. メールマガジンの活用提案 (技術情報の収集のため)
  8. 学生による授業評価の試行
  9. 物品購入/寄贈
  10. 映画上映会
  11. 一時的に隊員不在となっていたカルマハロ技術訓練校の支援
  12. JICAニジェール事務所報告書共有システム作成
  13. JICA事務所や隊員のPCのトラブル対応...

この中でも特に1・2の学生への技術教育と、4の学内LAN・インターネット接続が活動の柱でした。この1・2・4で活動全体の時間の1/2は取っていました。

「学生による授業評価」のようにうまくいかなかったものもありましたが、他は概ねうまくいきました。特に学内LANとインターネット常時接続の実現が出来たことが自分としては一番嬉しかったことで、たぶん配属先もこの点を一番満足してくれていると思います。

ニジェールではなかなか思い通りの活動ができないものですが、自分の場合は配属先とカウンターパートに恵まれたお陰で活動を遂行することが出来ました。EMIGの財政はとても十分とは言えないものの「年間予算ゼロ」といった他の隊員の配属先と比べると格段に余裕がありますし、私が見ている限り公金や設備の私物化もほとんど見られません。さらに、学校長が資金集めに非常に熱心で、よく援助組織から金や物、人を取ってきていることも特筆される点です。

カウンターパートは非常に教育熱心で、行動力があり、学校長からの信頼も厚く、学内中の人を動かす力がありました。活動で学内の問題にぶつかったとき、よくカウンターパートに相談したのですが、彼はすぐ関係者に電話して対処をしてくれました。有言実行で約束したことは必ずやってくれる点も非常に助かりました。

同僚も好奇心旺盛で、多少業務時間中でも私事優先みたいなところがあって困ったことはありましたが、新しいことを吸収しようとする意欲は強く、教えがいがありました。赴任した当初、彼らはExcelとWordしか使えなかったのに、最後はHTMLで配属先のホームページを作ってFTPでアップロードし、Linuxでユーザーやアクセス権を設定し、DNSサーバやDHCPサーバーの設定までいじれるようになりました。

要請内容と私の持っているスキルがマッチしたことも幸運でした。私はインターネット系のサービス設計や技術開発の経験があったので、これが配属先の求めるスキルとぴったり一致しました。データベースやメインフレーム、組み込み系システムの人だと少々苦労したかもしれません。

あと、自分のへたくそなフランス語による、教師経験ゼロのへたくそな授業を辛抱強く聞いてくれた学生達にも感謝しています。多少不真面目な学生もいましたが、ほとんどは真面目で真剣に授業を受け、試験の課題も知恵を絞って解いてきてくれました。

やり残したことは・・・

やり残したのは、情報学科のエンジニアコース(修士課程相当)のカリキュラム作りです。EMIGの情報学科エンジニアコースは既に学生を集めていて、この2006年10月から専門授業を始めることになっているのですが、フランス人ボランティアによって数年前に作られたカリキュラム案にはWebアプリケーションや情報セキュリティなどの新しい技術が入っていません。これからのニジェールのコンピュータ・インターネット技術を担う人材には是非最新の技術を習得していってもらいたいのですが、あいにく学内LANの整備で手一杯で、カリキュラムまで手が出ませんでした。手を出したところで、誰が教えるの?という問題もあります。

また、細かいことですが学内メールとインターネットメールの接続もやり残してしまいました。配属先が契約した現在のインターネット接続プランでは固定IPが取れないということもあったのですが、一番大きい理由はスパムメールやウィルスメールへの対処に習熟する時間がなかったためです。そのため、当面インターネットメールを使う場合はYahoo!メールなどのWebメールサービスを使う形にしています。

後任となる人には、その人の視点から見て必要だと思える活動をしてもらえればいいのですが、出来るなら上の2点についてもサポートしてもらえたらないいなと期待しています。

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