青年海外協力隊 ニジェール活動日記

2005/07/10〜2005/09/11



ラクダの顔

バカンスの始まり

ニジェールでは、7月〜9月の3ヶ月がバカンス期間で、国中の教育機関が休みになります。小中学校や高校では生徒も職員も3ヶ月間全く学校に来ないので、学校勤務の隊員 もこの間は基本的に休みになり、皆思い切りあちこち旅行に出かけてリフレッシュしていました。

自分の配属先のEMIGは、バカンス中も一般向け講習会や省庁の会議の会場となるため学校自体は休みにならず、職員が各自1ヶ月の休みを交代で取る形を取っています。もっとも、通常の授業は無いので皆結構暇に時間を過ごしていました。EMIGの学生はバカンス中、全員寮を引き払って帰省しなければいけません。学生のいなくなった寮は、ニジェールに旅行や研修に来た国内外の若者の宿として使われます。フランス人学生が人文系や農業系の研究のため1ヶ月ほど滞在していることもよくあります。

学校勤務以外の隊員も、バカンス中は皆結構暇になります。このバカンスの期間はニジェールの場合雨期と重なるので農繁期となり、村人が皆畑仕事で忙しく、隊員が何か企画を立てて村の人を集めようとしても集まらないからです。なお、植林の隊員は、雨が降るこのバカンスの季節が仕事の最盛期になります。

今回はこのバカンス中に行った活動や旅行の様子を紹介します。

他のページへ移動 1 2 3 4

トップページへ戻る


Java講習会

バカンス期間は、カウンターパートや同僚がまとまった時間を取れるまたとないチャンスです。そこでカウンターパートが以前から勉強したいと言っていた「オブジェクト指向言語」Javaの講習会を 開きました。「オブジェクト指向言語」とは、複雑なソフトウェアを作るのに非常に役に立つプログラミング言語の型の一つで、Javaはオブジェクト指向言語として世界中で最もよく使われているプログラミング言語の一つです。

講習会の様子。参加者はカウンターパート、同僚、別の所で働いている元同僚の3人。毎日午前9時から12時までの3時間×10日の30時間コースです。
プログラミングの演習をしている同僚。
カウンターパートは頻繁に前に出てきて、内容の確認や質問をしてきました。

講習が終わらない・・・

 途中カウンターパートや同僚が後から入ってきた他の仕事のために連日講習を途中退席したりキャンセルしたので、2週間 で30時間消化できる予定が、3分の2の19時間しかできませんでした。

 8月頭から同僚が1ヶ月の休みに入るため、何がなんでも講習は1週間後の7月中に終わらせる必要がありました。結局講習後半の内容をざっくり減らし、最終週に5時間取って23時間で講習をなんとかまとめました。

講習の効果

 今回の講習は即座にニジェールのために何かなるわけではありません。カウンターパートが新しい技術の存在とその価値を知り、配属先のカリキュラムにその授業を組み込み、 その授業をできる人をニジェール国内で見つけて、その人が学生に授業をして、その学生が卒業して社会で働くようになって初めて役に立ちます。 カウンターパートが授業をしないのは、やはり実際に仕事でその技術を使っている人でないと工科大学の学生に教えることは難しいという問題があるからです。

 今回は、カウンターパートが新しい技術の存在とその価値を知るというところまで行きました。今はカウンターパートがカリキュラムの検討をしていて、来年後半から学生向け授業 を始めようとしています。うまく回ることを祈っています。


学内LAN構築

バカンス期間中で同僚の手が空くこの機会に、以前から配属先より要請されていた学内LAN構築を行うことにしました。

LAN構築に使う機材。機材は、JICAの隊員向け活動支援経費を使って購入しました。ケーブルについては、写真に写っているのは一部だけで実際は500m用意しました。

こういった機材の経費は本来なら配属先が負担すべきなのですが、配属先の予算に余裕が無く、赴任から1年待ちましたが予算が下りる見込みは立 ちませんでした。このバカンス期間を逃すともう活動終了まで時間的チャンスが無くなってしまうため、今回は敢えてJICAに経費負担を要請することにしました。

EMIGはLANを引くべき部屋が広範囲に散らばっていて、作業は大変でした。

左の写真はケーブルを通す穴開けの様子。コンクリート製の壁の厚さは20cm近くあり、 しかもドリルはコンクリート用ではない力の弱いタイプしか無かったので、穴を一カ所開けるのに3時間近くかかりました。 砂埃を吸い込みながらドリルを力一杯壁に押しつけ続けなければいけない、大変な重労働です。一日1カ所開けるのが精一杯です。

穴を開けなければいけない箇所は全部で15カ所近くあったのですが、3日目にして同僚が作業に嫌気を出して手伝ってくれなくなりました。自分一人で作業を続けたのですが、 何時間やっても掘り進んでいる感触が無く、作業があまりにきつく目まいがしてきたこともあって、結局1日で作業を中断し、学校長に掛け合って専門業者を呼んでもらうことにしました。

専門業者はコンクリート用のドリルやノミを持っていたので、自分たちが3時間かかっても開けられなかったところを15分から30分で開けていってしまいました。 こんな事なら始めから業者に頼めばよかった!でも最初カウンターパートは楽観的で「同僚達に任せておけばOKだ。」と言ってたのです。

2階の天井にケーブルを通している所。左は吹き抜けになっていて、落ちたら大事なので、作業には気を遣います。

 7月下旬から8月下旬まで、構築作業はまるまる1ヶ月 かかりました。これでも今回LANが引けたのはたった2棟17部屋。学内でLANが必要な箇所はまだ3棟7部屋残っており、こちらにも今回と同じかそれ以上の経費と労力が必要な見込みで、 全部完成する日の目処はまだ立っていません。

 とにかく最低限必要な所にケーブルは引きました。次はサーバーを置いて、同僚にLANの管理技術を修得してもらって、職員全員にLANの使い方を説明して・・・と やるべきことは山積みで、しかも自分の残り任期9ヶ月の間に済ませなければいけません。


雨期の風景

雨期に入って、ニジェールでは2、3日おきに雨が降る日が続いています。この雨期の風景をいくつか紹介します。

雨が空気中の砂塵を落としてくれるおかげで、雨期の空はすっきりと晴れ渡ります。ニジェールで一番きれいな夕焼けが見られるのはこの雨期の季節でしょう。
 
雨雲からこぼれ落ちている雨の様子。山や高い建物が無く、空がはるか遠くまで見渡せるので、こういった光景もよく目にすることができます。
ミレット畑ではミレット(ひえ)が青々と育っています。
ニジェール川中洲の洗濯物。川の水量が増えて中洲が小さくなったので、居場所が無くなった洗濯物が所狭しとならんでいます。中洲も雑草に覆われて青々としています。第7号報告の写真と比べてみてください
雨期の間、川の水は茶色に濁っているのに、洗濯屋は構わず川の水で洗っています。不思議なことにこれでも結構ちゃんと洗濯物は白くなります。

次のページへ